私説 小倉百人一首 No.28 源宗干朝臣

源宗干朝臣

山里は冬ぞさびしさまさりける
       人目も草もかれぬとおもへば

【歌の背景】冬の山里を詠んだもの。春、夏、秋は草木や花の彩りもあり、都から離れて一人でいても自然の慰めを楽しむこともできる。しかし、冬になると人の往来もなくなり、山野の姿も灰色に塗り込められ、いわば寂寥の世界となる。そんな冬の山里の寂しさを歌った。

【歌 意】山里はどの季節でも寂しいけれど、冬は殊更に寂しさを増す。春、夏、秋は草木や花、もみぢなどそれなりに愉しみもあり、人も行き来する。しかし、冬になると人の姿もだんだん少なくなり草木も枯れてしまうので。

【作者のプロフィル】光孝天皇第一皇子の一品式部卿是忠親王の子。一説に仁明天皇の御子本康親王の御子ともいう。寛平6年源姓を賜った。官途では恵まれず、没年に正四位下に進んだのみ。朱雀天皇の承平3年に右京大夫になった。天慶2年(939)に没。